万博に降臨せし者

 (昨日の続き)
 ホントはこの会場をぐるりと一周してみたかったのだ。どこまで行けるかは分からないが、かつてのソビエト館やアメリカ館があった場所、いやいやそんなメジャーなところという意味ではなく、当時の会場の端っこから太陽の塔を眺めることで、その広大さを体感できるのではないか、と考えたからである。
 しかしそんな思惑も、自らの二日酔いで午前中がつぶれてしまった(ハイ、私もです、とダレにともなくカミングアウト)ので、ムリということになってしまった。しかし民博だけは見ておきたい、というのも、昨晩の高山羽根子さんの訪問話に、グググと興味を引っ張られたからである。
 しかし如何せん入館時間は4時近く、いやはや私は民博をあなどっていたのだ。とても見切れるものではない。しかもツレは展示物よりもお土産コーナーに興味津々なのである。
 それでもかなり回ってきたつもりだったが、あとで調べると、なんと私たちは3分の1も見ていないことがわかった。いやはや恐るべし民博。そして閉館の20分ぐらい前に、またモギリの場所で預けた荷物を受け取っていると、反対側の通路の向こうから、一人の人物、そう女性がこちらのほうに、悠々とした面持ちでスタスタと歩いてくるではないか。
 そのシルエット状の人型を見て、私は瞬時に思ったのだった。オキシさん描くところの万博会場に降臨した、あのスミレさんは実在したのだと、そしてと私は眩暈に襲われたのだった。(続きます)