「ソラリス・ステーション」定時連絡04

 ということで、今月の「SFマガジン」6月号の「『惑星ソラリス』理解のために[一]――では、新旧の訳本の比較によって、どこがどうなっているのかを、書かせていただいた。
 しかし、とても残念なのは、その欠落の度合いが少ない章は、やや詳しくそれを記述できたけれど、「怪物たち」、「夢」、「思想家たち」、そして「古いミモイド」ではそれがあまりに多いので、ほかのところと比べて十分に例として提示できなかったこと。
 しかも、比較検討のキモとなるのは、実は上記の4章の欠落部分にあるといってもいい。なので、そのあたりはそのあとに、なぜそこが欠落しているのか、その必然性とは何だったのかをしっかりと考えてみたつもり。
 いやはや、これがまた面白いのだ。その面白みをキチンと伝えられたかどうかは、不安ではあるけれど、この4章の役割、特に「思想家たち」の後半と「夢」の中のクリスの不思議な夢の意味、そして「古いミモイド」の会話の連なりがわかれば、レムの『ソラリス』の真髄に達することができると、ここで勝手にいい切ってもいいと思う。
 しかも、このキモの部分のほとんどは残念ながら、ハヤカワ文庫には欠落している。なので私は国書刊行会の回し者ではないけれど、そのあたりを知りたいと思う人は、ぜひ沼野訳の『ソラリス』を読んでみてください。あっ、それから文頭の雑誌もね。