幸せのうたた寝日和

 暑くも寒くもなく、まさに散歩日和の今日この頃、ボーッとしていてはもったいないと、ツレといつもの近くの公園を歩く。
 考えることはやはり皆同じで、公園は人で溢れている、と書いても、それは花見の時期の上野公園とは違うので、適度な溢れよう、ではあるのだけれど。
 で、公園の池沿いに歩いていくと、何やらツレがびっくりしている。どーでもいいことにもびっくりする人なので、無視しようとしたが、どうもそのびっくりの先には、おっさんが一人ひっくり返っているのだった。
 池の柵と水面の間に大きなゴロゴロとした石が並んでいるのだが、そこに横たわったおっさんは器用にも人一人分もなさそうなその幅にすっぽりと自分の身体をあずけている。
 果たして生きているのやら、そうでないのやらといった雰囲気なのだ。もし眠っているとするなら、どうしてそんなあぶなっかしいところに寝転ぶだろうか。寝返りでもしようものなら、池にドボンである。
 そんなおっさんを私が確認して、いぶかしげに立ち止まってことに気づいたのだろう。そのおっさんのお友達のやはりおっさんらしき人物が近づいてきた。
 いや、酔っ払っているんですよ、すみませんねぇ、ご心配かけて。
 とまるで展示物を説明する係員のように語りだす。
 あのおっさんもこんな係員のような友達がいるおかげで、安らかなる眠りについているというわけなのだ。ちょっとそれってけっこう幸せなのではないのかな。