明日の顔の口から出ているモノ

 そんでもって、太陽の塔の眉間の傷の話。
 いつもは私以上にぼーっとしているツレではあるが、あの日本橋の上から眺めたときに、そのあたりの「黄金」が剥がれていたことに気づいたのも、そしてそのわけを見つけたのも彼女だった。珍しくもスゴイ。彼女は展示物の最後近くで、太陽の塔の顔に付随して置かれていた当時の写真や何やらを見ていて、さっき見た顔との違いがわかったのだった。
 つまりホントウのあの顔には、口から黒い棒状のものが出ていて、それが上に向かって顔の高さ以上に伸びているのだけれど、それが江戸東京博物館の展示にはなくて、それを支えていた場所が剥がれていたのが、その眉間の場所だったというわけなのだ。
 最初に観たとき、どうも違和感があったのだけれど、と何にも気づかなかった私もいってみたりする。
 しかし、あのくちばしのように口から空に上っていくように棒は、いったい何を意味しているののだろうか。私にはどうもあの空也像の口から出てくる小さな仏像を連想させるのだ。