ブラッドベリへのお礼

 昨日の夕方、拙作の「『惑星ソラリス』理解のために[二]――タルコフスキーの聖家族〈後篇〉」の電話での校正チェックを終えて、うだうだしていると、深夜にかけてレイ・ブラッドベリの訃報がツイッターを中心に巡り始める。しかしマスメディアの報道はまだされていない。
 なるほど、ツイッターならば海外メディアや、あるいは直接海外の関係者からの情報をそのまま伝聞なりで流すことができるが、国内メディアは確認作業をしなくてはならない。それがこの時差を生んだことになるのだろう。
 私もツイッターで、ブラットベリさんへのお礼を述べた。
 SF評論賞選考委員特別賞をいただいた「ソラリス論」も、ロシア語版『ソラリス』の検閲官の技量に関する記述の中で、『白鯨』のシナリオを作成したブラッドベリを類例として挙げた点を、選考委員の方々に評価していただいた。
 また創元SF短編賞・堀晃賞の「ものみな憩える」でも、思いがけずブラッドベリ的なニュアンスを感じてくださったようなのである。
 つまりこの二つの身分不相応な受賞は、レイ・ブラッドベリなかりせばあり得なかったことになる。
 ここで正座をしつつ、「ありがとう」とつぶやきたいと思う。