埋め草架空対談02

B しかし大丈夫ですかね。こんな感じで進めていったら、50枚と少しの本編よりも長くなってしまう。

A それはホラ、編集とかなんとか。

C でもそんなことする気はまったくないようですよ。

B えっ、誰がですか。

A まっ、それをいったらおしまいですから。そうこうしているうちにも行数が増えてしまいました。先に進めましょうか。

C この作品の設定は2011年の12月末になってしまうが、このことになんか意味があるのでしょうか。

B それはおおありでした。というのも、前回の創元SF短編賞のアンソロジーが12月に発行されているんです。だからもしこれが何らかの形で次のアンソロジーに入ることができれば、リアルタイムの物語にすることができる。そのために設定でした。ただ最初の原稿はやや曖昧だったような気がします。

C どちらにしても応募の段階では未来の物語だったんですね。

A そして見事にずれてしまった。

B まあ、しかたありません。未来はあっという間に過去になりますから。

C 物語の桜台という場所はかなりローカルにも思えるのですが。

B この小説の3分の1ほどは事実です。祖母はそこに住んでいて、そこにある床屋に今もひと月に一度通っています。途中の江古田で葬式に出たというのも実際の体験で、その知人と新しいマンションの小さなテーブルでビールを飲んだというのも、ほんとうです。

C いやはや、まるで私小説ですね。それにしては……。

B えっ、何をおっしゃりたいんですか。

C いえ別に何でもありませんが……。

A なかなか駅に着かないので、早く先に進めましょうか。