埋め草架空対談07

A どうやら埋め草がなくなっちゃったみたいなので、刈ってきましたよ。
B はいはい、実家の庭からでしょ。
C でもどのへんに埋めればいいんですか。それになんかゼラニウムが臭うなぁ。
A って、冗談になってないんですが、まあちょっとお休みしたので、また始めることにします。
C ええっと、そういえば「ものみな憩える」の構造が、少し理解しにくいという声があるみたいなんですが。特に最後のあたりですね。駅の近くにいるマコトと床屋の主人公とはどう繋がるんですか。
B 若干矛盾するところがあるんですが、最初に登場して桜台の床屋に行く主人公は、いわば現在のこの世界に住んでいます。そして彼は祖母のアパートを訪ねることで、別の次元に入ることになります。そこは30年前の世界で、そこから彼自身も30歳若返ります。そして現在の世界とは別の次元の世界を生き続け、それが最後の宇宙ステーションの床屋とおぼしき場所にいる主人公になります。
C いわば歴史改変小説ということになりますね。
B そうですね。つまり桜台を訪ねる主人公と宇宙床屋の主人公は同じ年齢です。別の次元で暮らしてきて、おじさんと彼の会話にあるように広告会社に勤めつつ、プレゼンテーションのために宇宙にいるという存在です。ただし、最後の駅近くの場面では、そこが高架になっているという矛盾があるわけです。そこはなんらかの形で、「彼が振り向くと駅は以前と同じように地上にあった。そして券売機で池袋までの切符を買うと、退屈そうに改札口に立っている駅員に差し出した」みたいな文を入れたいなと思っています。ちょっと無理くりですが。
C 確かに相当に無理めですね。それが「ものみな憩える」の続篇の構想の一部なんですか。
B いえ、そういうわけではありません。