埋め草架空対談16

B しかしまあ何といっても、大々的な宇宙への画期的な輸送システムとして喧伝されてきたスペースシャトルの、どーしようもなさったらないじゃないですか。
A といいますと。
B 当時のリタイア直前の宇宙少年たちは期待したわけですよ。もうこれで宇宙は日常の一部になるってね。あのコークスストーブの煙突の筒みたいなロケットの時代が終わり、これからは誰でも宇宙に行ける、といった話がされながら、実際にはその計画自体がドンドンと遅れていく。
C そしてBさんは、その間に大人になってしまったということですね。ちなみにBさんって当時おいくつだったんでしたっけ。
B 企業秘密です。   それでその遅れが原因で、我らがスカイラブを救援に行く計画が頓挫してしまったのです。
C なるほどその感慨は小説にもありました。つまりBさんにとってスペースシャトルは敵役でもあるんですね。
B まあそれもありますが、それよりも前評判と違うじゃないかという思いですね。スペースシャトルなら、メンテナンスが簡単で、短時間に何度でも宇宙に行ったきり着たりができるっていわれてました。ところが、もたもたして、やっと打ち上がっても、そんなことはまったくなくて、それこそ今までのロケットを再利用したほうが、よっぽどよかったほど時間もお金も掛かるようになったしまった。結局、総合的に見て、スペースシャトルは失敗だったわけです。
C でも、もしそれが失敗だったとしても、あなたの独断と偏見のスカイラブで宇宙開発は終焉を迎えたということには結びつかないと思うんですけど。
B いいですか。昨年、とうとうアメリカはスペースシャトルの運用を終了させました。
A それはみんなが知っていることです。
B げほげほ、水を一口いいですか。
A はい、寝てたし、しゃべりすぎたので喉が嗄れたんでしょう。