足もまた洗えず05

 そして船は行く、じゃなかった、バスは行く。
 しかしバスに乗るなんて久しぶりだ。この乗り合いバスには、もちろん皆さんご承知のようにいろんな料金収集システムがあって、それにアタフタしていると、怒られそう(そんなことはないのだけれど)な気がしてくる。
 都心だとほぼ単一料金だから、最初にいくばくかを払えばそれでいいんだけど、ちょっと郊外に出向いたりすると、乗ったときには番号付きの紙がペロリと機械から出てきて、それを受け取って、前方にある料金表で最終的な運賃を確認しなくてはいけない。
 乗り慣れている人には、なんら問題にはならないのだろうけれど、小心者の私なんぞな、料金がピンピンと上がっていくたびに、小銭が足りるかどうかひやひやしたものである。一万円札なんか出したら怒られそう(これは確かに可能性あり)だもんね。
 あっそうそう、そんな感じで料金が後払いなシステムだと、乗車口も後ろの方だ。恥ずかしながら、どこから乗るのか間違えたことが一回ぐらいはある。
 それから、こんなこともあった。これもやっぱり郊外のバスだったけれども、目的地に着いて、千円札を入れた。で、出てきたお金はお釣りと思ったら、ただの両替機。いちいちお釣りなんか確認しないので、それをむんずと握って、そのまんま降りようとした私は、強い口調で運転手さんに呼び止められたのでした。でもどこかのバスのシステムは、お釣りが出るタイプだったと思うけど・・・ポリポリ。
 そんなこんなで、はらはらどきどきの乗り合いバスのことを、私はけっこう好きなのでした。あまり乗る機会はないのだけれどね。
 そしておばさんの隣りの席には、まだ彼女の荷物が座っている。って、くどいか。