散歩あゆめず04

 スピーカーから流れる声は、大江健三郎さんから落合恵子さんに代わっていた。よく通る声だ。メリハリがある。テレビで聞くそれよりもハツラツとしている。そうだ、彼女はアナウンサーだったんだよね。文化放送セイヤングのパーソナリティ、レモンちゃん、と知っている人はまず五十過ぎ・・・。
 さて、昨日の続きだ。
 この炎天下の中で、木陰にも入らずに、じっと大江さんや落合さんの話を聞き、そしてたぶんその前の坂本龍一さん、鎌田慧さん、内橋克人さんの話を聞いてきた、この人々の海原。ノボリも旗も掲げず、風に舞う土ぼこりの中にい続ける、その佇まいを荘厳というのは、過ぎたことだろうか。
 会場入り口で配られていたチラシを、また広げてみる。
 なるほど、野外ステージには原水禁と平和フォーラム、阻止ネット、そしてサッカー場陸上競技場の間は全労連など、さらに開放された道路の西側1/3がJR総連、全労連関係とあり、それが以外のこのメイン会場であるサッカー場と、道路の東側2/3が市民・市民団体・NGOとなっている。
 つまりこの案内によると、サッカー場にいる人々は既存の運動体に依ることのない、まさに普通の市民として、ここにいるというわけだ。ノボリも旗もあるわけがない。あるとすればお手製のプラカードぐらいだ。そしてそこには誰にも依らない自分自身の言葉が書き込まれている。この海原は市民意識の苗代なのかもしれない。