散歩あゆめず07

 代々木公園サッカー場のスピーカーは、落合恵子さんから澤地久枝さんになった。澤地さんもよく通る声だ。ただそのエリアにいても、後ろのほうだから、彼女の姿を確認することはできない。まだ人はどんどんと集ってきているようで、まごまごしていると、ここから出られなくなりそうでもある。
 そして今度は瀬戸内寂聴さんだ。ここにいる人の中で一番、年寄りなのはたぶん私だろうと思います、などと話している。彼女もそんなことを感じさせないほどいい声だ。その声を家にいるツレにも聞かせようと電話をするが、案の定ケータイは繋がらない。たぶんここに来ているはずの友人とも連絡が取れない。でもまあいい。
 こういったイベントには最初から一人で来ることが多い。事前にどうだい、と話があるときは、それに応じることもあるけれど、基本は一人である。もちろんどこかの団体とか組織とかの一員としてそこにいたことは一度もない。もちろん、そのほうが気が楽だということもある。
 最初はたぶん77年の5月だった。その頃、ロッキード事件というのがあって、それをきっかけに週刊ピーナッツという情報誌が創刊された。どうしてそんな名前が付いたのかについては省略。その告知欄に、その「公道散歩」の案内が出ていたのだ。いってみると、10人足らずの散歩だった。それが始まりで、これから35年にもなるのか。いやはや、まあそれなりにいろいろとあった。