散歩あゆめず12

 原宿駅近くの陸上競技場前の歩道橋に上がって、デモの行列を眺めた。昔はこんな風に歩道橋から見ていると、ただそれだけで警官に蹴散らされたことがあったけど、いまは多勢に無勢なのか、そんなことはない。
 ただ明らかに規制は明らか厳しくなっている。
 もちろんある時期のように、何にも持っていない市民の列の横に、ぎっしりと機動隊がくっ付いて歩くということはまだない。しかし大きく広がっている列はその先頭部分で、まるでロートに入れられたように小さくさせられて出て行く。そしてその列も全体の大きさを想像させないほどに分断される。
 つまり街頭の人たちには、これがいかに多くの人を集めたイベントだったのかを知らせるができない。まさにデモンストレーションの意味を規制していることになる。そしてその規制のせいで、最後に会場を出る人たちは長時間待たされることになる。安全のためという名目による嫌がらせだ。
 歩道橋を降りて、先頭近くに行こうとすると、警官にベビーカーを押した若い女性が、このデモに入るのにはどうしたらいいかを聞いている。彼は会場まで行ってくれと答えている。人の流れもあって、その場所から会場まで行くのはほぼ困難だ。これもまた嫌がらせの一種。立ち止まって、彼女を案内してあげればよかった。
 デモの行列は駅前の交差点をグルリとカーブして、表参道の並木道に入っていく。それを警官がやはりグルリと囲んで、歩道にいる人たちが車道を歩く人たちに合流しにくくなっている。それでもその隙間を見つけて、その列に合流する人が一人いる。それを見て、もう一人、さらに一人、そしてまた一人、その一人としてここから車道を歩く人となった。少し行けば、並木道の木陰がある。