ソラリスのストーカー08

 ところで、「惑星ソラリス」の試写会でいただいた、タルコフスキー生誕80周年記念映画祭のチラシには当然のことながら、今回上映される8本の映画のスチール写真が掲載されている。その中で一番注目すべきなのは、やはり「惑星ソラリス」の写真である。
 なんとそこには黄色いジャケットを着たクリスが写っているのだ。映画本編にはこのような服を着たシーンは存在しない。
 「アンドレイ・ルブリョフ」には、上映時間にさまざまなバージョンがあって、その詳細が落合東朗さんの『タルコフスキーとルブリョフ』で論じられているけれど、「惑星ソラリス」に別バージョンが存在するということは聞いたことがない。
 どちらにせよ、これは編集の過程でボツになった場面のスチール写真と考えられる。もしそうであるのなら、その場面がどんなありようだったのかが気になってくる。
 というのも、「惑星ソラリス」についての拙文では、登場人物の服の色についていろいろと書いているからだ。
 ちなみにそのクリスの横には髪を結っていないハリーがいる。彼女の服はあの黄色と茶色の不思議なワンピースである。二人はたぶんステーションの通路にいて、ほぼ同じ方向に視線を向けている。クリスの胸には緑に白抜きで、5003−ATと記されたタグがある。「5003−AT」、さて何だろう。