お土産は40年前の思い出06

 小学校の友人Tの家には、なんとサンダーバードのプラモデルが全機揃っていた。さらにあの火星を探検した不可思議な形の宇宙船や、ジェットモグラ、ペネロープ号、さらに秘密基地全体、そうあの横から小さな4号が飛び出すのまであるのだ。
 2号だけしか持っていない私とはまさに雲泥の差。でもそんな驚異ともいえる情景を見ながら、一瞬だけ言葉を失いつつも、私は彼をあまりうらやましくは思わなかったような気がする。
 しかしそれはそれ、うらやましくはなかったにしても、興味は津々である。いつもは決められた方向からしか見られなかったから、全体の構造がどうなっているのかがわかるのである。
 そんなことを一通りしてみると、それらが意外に乱雑に扱われていることに気づく。2号のノズルあたりも取れていたはずだ。彼はそれらをいったいどのくらい欲していたのだろうか。ふと彼と親との関係が気になった。
 彼のような子どもは少ないにしても、あの当時の小学生の男子なら、ほぼサンダーバードのプラモデルの一つや二つは持っていたはずだ。だから、これでプラモデルメーカーのマルイも安泰だなぁ、と思った。そう、まさかその数年後に倒産するなんて、考えもしなかった。