電気炊飯器と電気掃除機01
ツレの実家に行ってきた。といってもクルマで40分ほどの距離。15日は盆の送りということでの墓参りである。
東京近郊だが、やはり8月がお盆なのだ。ということで、私にとっては年に二回ほどお盆がやってくることになる。
昔だと家から提灯を先頭にして、歩いて墓まで送りにいったのだそうだ。確かにツレの実家から歩いて15分ほどの場所に、寺はあるのだけれど、現在、お参りにくるのは、みんなクルマである。よって、涼しくなった五時過ぎには寺の駐車場が満杯になる。
そして墓参りが終わってからは、寿司を摘みつつの四方山話。中年二人のワレワレもここでは若年層、というかほぼ最年少なんだから、いやはや。
ひとつ、よくあるけど、興味深いとあるおばさんの話。
夜の11時頃、家の人もみんな帰ってきたので、玄関の戸締りをしようとしていたら、そこに一人のおばあさんが立っていた。
彼女曰く、「加藤さんの家はどこですか。山の上の方なんですが」
しかしあたりに加藤さんの家もなく、ましてや山などどこにもない。それよりも不思議なのは、そのおばあさんは片手に炊飯器、片手の掃除機とハタキを持っていたとのこと。
語り部が、「近くに交番があるので、そこで聞いてみたらどうですか」というと、あっさりとそちらへおばあさんは消えていったという。
よくある徘徊老人だったのだろうとは、あとで気づいたことで、彼女はもっと丁寧に対していればよかったとも話していた。
でも、それを聞いていた私はというと、これで小さなお話が書けるかも、なんぞと思ったのである。