ソラリスのストーカー補遺03

 そしてまた話はユーロスペースへと戻る。
 前回この映画館に来たのは6月、ソクーロフの「モスクワ・エレジー タルコフスキーに捧ぐ」を観るためだった。そしてその前は「ブリューゲルの動く絵」だけれども、それも実のところ「惑星ソラリス」の図書室に掲げられた彼の絵を解釈のヒントになるかなぁ、という思いからだった。
 よって、最近の三回はすべてタルコフスキーがらみということになる。いやはや。
 整理番号80番の入場券を握ってホールに入ると、当然のことながらすでに席はある程度埋まっている。しかし比較的前のほうの真ん中辺り、ふたりの女性が座っている間の一つの席を、「そちら空いていますか」と一応尋ねつつ確保した。
 これで準備万端だが、まだ汗が止まらない。やはり太り気味、というかデブは困ったものである。すでに普通のハンカチはその使命を果たしていたので、カバンからタオル地のものを取り出して、首筋をぬぐう。
 定刻の2時になった。今回は予告編は無しで、すぐに本編が始まる。「モスクワ・エレジー」のときは、すいぶんと長く予告編を見せられたので、これは意外だ。そして自分としてもまずは予告編と思っていたので、そのあたりの準備は万端ではなかった。
 かくして「ストーカー」は始まった。DVDでは数回か観ているけれど、映画館で観るのはいったい何年ぶりだろうか。いや「ストーカー」に限らず、タルコフスキーを映画館で鑑賞するのは、記憶のほころびがあるかもしれないが、もしかすると四半世紀ぶりということもありえる。これはいかんなぁ。