九月のこと02 カネゴン来襲

 某日、結局、カネゴンは我が家へやって来た。
 大伴昌司の土産物売り場で見かけたカネゴンの貯金箱が忘れがたく。ついついアマゾンで約3000円也のそれとおぼしきものを買ってしまった。
 やって来た彼は期待以上に立派なもので、全長は約30センチ、ほぼテレビ画面にいたそのままの姿で、変なデフォルメもされていない。
 胸にも「ホンモノ」(!)と同じようにカウンターがあって、普段は時刻を刻むが、貯金額を表示したり、500円玉を入れるとそれがスロットになったらするらしい。まだやってないけど。
 しかしそれにもましてカワユイのは、光に反応してしゃべることだ。つまり彼の前を通ったり、カーテンを開けたり、照明をつけたりすると、その二つの目玉がピコピコと光ったあとで、おもむろに言葉を発するのだ。
 まずは表現しづらい、うぇっへへへ、という笑い声。
 そして「お腹がすいたよぉ」と「お腹がすいたなぁ。もう動けないんだ」、さらに「お金、ひろっちゃった」の4種類、お腹の具合のパターンがふたつもあるのは、なんとも不思議だが、その声の質はなんともイイ感じなのである。
 「お腹がすいたよぉ、もう動けないんだ」といわれると、ついつい百円玉を口に入れてみたくなる。
 しかし入れるとなると、彼の前に立たなくてはならない。するとセンサーが働いて、また「お腹がすいたよぉ」という。これじゃ、食わせてやっている甲斐がないではないか。
 かくして我が家のカネゴンの手には自家製の1億円札が握られ、センサーの前には厚紙がつけられてしまった。
 でもたまにはそれでも反応して、「もう動けないんだぁ」といったりして、彼の存在に気づくのである。