雨の日曜日の釣り人たち

 朝方、といってももうかなり昼に近い日曜日の雨降る朝方。
 救急車のサイレンがやって来たと思ったら、すぐ近くで止んだ。と、すぐ後になにやら金属音。ウチに近くの公園には、中に自動車を入れるため、というか入れないためのポールがあって、それが取り外せるようになっているのだけれど、どうやらそれが外されたようだ、ということで、ツレが窓の外を見る。
 案の定、救急車が公園の中に入って行くが、ほどなく池に面したベンチの近くに停車。どうやらベンチに病人が座っているらしいのだが、その姿はウチからは見えない。ただその情景を窓から確認した。その近くでは何もなかったのように、何人かの釣り人が釣り糸を垂らしている。
 その後も見ていたツレのいうところ、病人は救急車に収容されたが、病院に行く気配がないまま、今度は警察官がやってきたという。つまりその病人は、すでに亡くなっていたということだろうか。
 そのあたりはいつも何人かのなじみらしい釣り人に占有されている場所で、フリの散歩者が近づくことはあまりない。もうそのベンチに私が座ることもない。でもきっといつもの釣り人たちはいつものように釣り糸を垂れ続けることだろう。