浅く静かに潜行せよ。

 さて、やっと水中モーターの登場である。
 ウィキペディアによると、一九六七年にデビューしたというから、私はそれを最初に買った世代ということになる。そしてまたあの「青の6号」の連載開始もまたその年で、私は少年サンデーを買い求めて、それをフォローし、さらに昔チラチラと眺めた記憶のある「サブマリン707」の単行本を、こづかいを貯めて一冊一冊買い揃えた。
潜水艦好きなんて、ちょっと変わった部類の子どもかと当人は思っていたが、この「青の6号」は人気を集めたようなのだが、なぜかプラモデルの記憶は、「サブマリン707」のほうである。それにポラリス型原潜などという物騒なのもあって、それらもゴム動力で風呂屋の大海原で、潜行と浮上を繰り返していた。
 しかしその動力源は水中モーターの登場で、簡単に駆逐されてしまった。(余談だけど、駆逐艦って、何を駆逐するんだろう。潜水艦かな)
 水中モーターは、なにせ電池式だから、ほぼその動力が切れる心配はなし。
 長さは十センチぐらいだっただろうか。ほぼ魚雷のような形をしていて、スクリューの後ろには方向舵が付いている。前のほうが単三電池の収納部分で、白というかクリーム色、そして後ろがモーターの収納部分で水色をしていた。少しシェイプして溝が切られていた電池部分が、全体の3分の1を占めていたと思う。
 優れていたのが、そのスイッチの入れ方で、電池部分の回すと電源が入る仕組み。それも防水性を高めていた。さらに天下のマブチ製である。その勢いの良さったらない。
 これを既成の潜水艦や船の船底に、付属の吸盤でくっつけて遊ぶのだが、方向舵がついているので、目的地に進めることもできる。
 しかし、この水中モーターに、さらに画期的なことが起こるのだった。