天才への道はケワシイ。

 はい、なんとなく六本木ヒルズは苦手である。真ん中のでっかい建物を中心にして、その同心円状にいろんなものがポコポコとくっついている。しかもその同心円がよく途中で途切れていたり、カタチを変えているのだ。
 それに比べると、いろんなものがミルフィーユ状態なミッドタウンのほうが庶民的というか凡人向きではないか。まああんまり入ったことはないけど。
 ということで、もともとミッドタウンのどこかに用事のあったツレと、その中の廉価レストランで集合し、あまりおいしいとはいえないパスタを食べて、会田誠展「天才でごめんなさい」が開催されている森美術館のある六本木ヒルズへと向かうのだった。展覧会の場所はこの中心のビルのほぼ最上階なのだ。
 ここには地下鉄からのアプローチは何回かしたことがあるので、そうしようと思ったら、ツレは銀行に行きたい、なんぞといいだす。でもって地上を歩きながらみずほを発見して、結局、麻布警察近くで246を渡る。このあたりに昔はWAVEがあったんじゃなかったっけ。いや、もっと南のほうか。
 やがて角の地下から上るエスカレーターに接近したが、地上からは乗れないので階段でどでかいエントランスに向かう。そうそう、このへんから、昔なにかの発表会で六本木ヒルズの本体の高層階に上がったことがある。だからここから上がっていけばいいのかと思ったが、展覧会の案内は皆無。変だなぁ、と案内係のお姉さんに聞くと、入ってきたところを右にいって、すると左に透明ななにやらがあるという。まったく最初からこの調子だ。
 ふむ、そのお姉さんのいったとおりに行くと、そのとおり外周広場というか通路に森美術館への案内を表示しているエレベーターがある。でもこれで上れるのはせいぜいが三階ぐらいだ、と思いつつもあのお姉さんなら騙されてもいいと、それに乗り込んで着いた階にまた回廊があって、別のエレベーターへと案内される、というのが記憶なのだけど、そうであったかは断定できない。その間もまた何人もの案内人がいる。やっぱり六本木ヒルは迷宮なのだ。
 自分がいったいどんな場所にいるのか、まったくわからないままに、大人ひとり1500円、展望台のオマケ付チケットを買って、さらにまた何人もの案内人に案内されて、こんどはぐーんと高いところまで進むエレベーターに乗り込む。
 うーむ、天才への道は険しい。耳がつーんとしてくる。