見知らぬ惑星

 夜中にツレが「むこうでずっごく光っている星は何、金星?」という。
 彼女にとってはどんな時間でも、明るく輝いている星は金星ということになっている。
 しかしこちらとしても最近の惑星の運行についてちゃんと把握していなかったので、なんともいえない。まあほぼ間違いなく木星か、土星なのだが。 
 ということで、突然に観測欲が沸いてきて、くだんの双眼鏡で眺めるもよくわからない。何やら半月状に見えなくもないが、こんな夜中に金星はあり得ん、とさらに熱くなって、物置きから8センチほどのカセグレン式反射望遠鏡の鏡筒を取り出した次第。これはカメラの雲台に取り付けるタイプなのだが、むりくりアルミサッシの枠に押し付け固定して、その星の方向に向けるも、うーむ、ぼんやりとまわりに見えるのはゴーストなのか、それとも輪っかなのか、いやいやその近くには点々と小さな星がいくつか見える、でもガリレオ衛星にしてはちょっと軌道がヘンだ。
 てなことで、結局、わが夜半の惑星がいったい何だったのかはわからないままに、西の地平へ消えていったのだった。