広告媒体としての787

 ボーイング787という名前を見るたび、おお未来なのだなぁ、と思うのは、時代をフォローしていないオジサンの感慨なのである。
 ハイ、五十代なかばのワタシラは、いろいろとちっちゃこい飛行機を見たあとで、ボーイング707なる流麗な旅客機にびっくりした子どもたちではあったのだ。そしてコンパクトながらも、あんなところにエンジンを付けちゃったボーイング727にも、また憧れに似た溜息をついたのではあった。
 しかし時は移り、ヒコーキに感動した日々も今は昔の頃、ロッキード事件でトライスターを知っても、なんだ727の真似っこだな、とほぼ意味不明の感想を持ったりしたのだった。しかしそのあたりのカラーリングは、基本的に日航のそれだった。それがもう「8」だもんね。
 さて、本題はこの先なので、747を見たときのタメゴロー的な状況は置いておいて、787なのである。
 オジサンたちの知らないうちに旅客機は、主翼がベロンと捲れたり、その先っぽにトンガリが付いたり、エンジンの後方が波模様になったりと、いろいろと変化していたが、最新技術の塊とやらのボーイング787を見ても、もう何もわかっていないオジサンは「うーん、なんかふつうだなぁ」という感想しかもてない。
 しかし今回のトラブルで、いやがおうでもその機体を目にすることとなる。まず最初のトラブル時の日航のそれ、いやにシンプルなカラーリングは洒落てると思うが、それ自体はお家事情によるものだろう。次に致命的の一歩手前の全日空のそれをみて、意外に思ったのは、機体にデカデカと787とペイントされていること。
 日航ガリバー企業だったのはもう歴史。
 そして勝手な想像に過ぎないのだけれど、つまりボーイング社が787の「広告」媒体として選んだのは、日航はなく全日空であったというわけだ。いや、もちろん便数とかによるマーケティングはあると思うけど、ね。結局、媒体としては今回、日航よりも全日空が有効であると判断されたのかな。