壇上の夜08

 ということで、どうやら壇上の夜[延長戦]。
 三月二日は休肝日。特に何かの異変があるわけではないけど、とりあえずの明日への備え。
 で、その三日、本日は第6回「わたくし、つまりNobody賞」の表彰式と記念講演会があるのだった。今回の受賞者は英明なる先輩、宮内悠介さんなので、これはぜひ講演を拝聴したいと、日本出版会館へと赴いた。
 一昨日は東京會舘で今日は出版会館、この「かいかん」違いがいいね、どうしていいのかは書けないけど。
 実は数年前にも当時の会社の関係で、ここに行ったことがある。でもそのときは会社から車で直入りだったので、どこをどう走ったか(運転手でなかったので)わからないが、とにかく妙に分かりにくい場所にある、という記憶だけ残った。
 な、ものだから、少し早く家を出ようとしたら、予定よりもさらに一本早い電車に間に合ってしまい、まあいいか、と飯田橋から大江戸線に乗り換えるつもりが、時間もずいぶんとあるし、だいたいの場所もわかっているし、と、飯田橋から歩き出したのが、あやうく一つの曲がり角で大きな間違いの始まりになるところだった。
 まあ人生なんてそんなモンだ、と、またこの歳にしていまさらの教訓を得つつ、開催場所に近づくと、宮内さん自身がどなたかと入り口近くで煙草を喫っていた。お互いにちょっと会釈、その余裕の表情から、今日の講演への自信が感じられる。一階に入ると、そこの喫茶ルームらしき場所の名前がローズルーム、おやおや、東京會舘の贈賞式の会場と同じ名前だわい、と思って、近くの椅子に座って時間を確認すると、あと十五分もある。でも後でお酒も飲むんだろうし、これからコーヒーというのも何だなぁ、と思ってその店内を見ると、早川書房の井手さんの顔が見えた。
★近くの公園で、真ん中あたりの青いのがカワセミです。