壇上の夜09

 というわけで、これかの飲みの準備をせんとや、とトイレに立つ。と帰りにその出入口で井手さんと遭遇。はい、お互い準備は怠らない。
 また椅子に座って文庫本を読みつつ時間をつぶしていると、東京創元社の小浜さんがいらしたので、そのままよもやま話。とすぐに定刻になり、井出さんといっしょに「わたくし、つまりNobody賞」の表彰式会場の三階へと上がる。
 受付あたりには大森望さんの姿も。本日のノゾカジがやや地味めな色合い。会場は東京會舘が高校の体育館だったら、こちらは小学校の講堂といった感じ(個人的感じです)で、自分としては人の顔がしっかり見える、こちらのほうが好き。
 壇上に向いて左の前から三列目あたりに一人座る。と、知り合いらしいやや若い(微妙な表現)男女がその前の席に。で、その座り方が面白い。彼の方が彼女を過剰に意識しているらしく、ひと席弱ほど間を開けて座っているのだ。直に隣の席同士だと、接近し過ぎとでも思ったのだろうね。このひと席弱という隙間が彼の心のうちを反映しているみたいで、オジサンは微笑んでしまったのだ。
 閑話休題
 いよいよ表彰式の開会、招待席に大森さん、小浜さん、そして井手さんが座る。まさに宮内さんの産婆役と養育係を果たし、また果たされている方々、そのご尊顔を前にの講演はさぞかしハードルが高いだろう。
 まずは理事長と副理事長のご挨拶なのだが、これがそうとうに深い内容だったことに驚く。そしてまた語り方も上手なのである。これでまたハードルが高くなった。さて、どうする。