さよならF1 その四

 さて、その後もネット上には、昨今のF1とは縁遠いかつての関係者のコメントがずらりと並んでいるが、それらは一様にベッテル批判の論調となっている。そんなにチームオーダーっていうのが完全復活していて、さらに金科玉条のごとくの存在となっていたのか、と驚くことしきりの今日この頃。
 で、もしきっちりとそれを守護したてまつれば、ポディウムがどうなっていたかといえば、三人ともにそれに従っただけのその結果だったので、もちろんみんながみんな白けたものになっていただろう。さらにトンでもないのは、レースをを見続けていた我々もまた、トップチームのバトルもなにもなく、ただグルグルと周回数を消費するためにデモ走行を観させられたことになる。あーあ、衛星回線がもったいない。
 つまりチームオーダーを尊重したレース展開を想像してみると、今回のキモの場面は、まだウエットの状態で最初のタイヤ交換をしてしまったベッテルが、何周かほど走りにくい状態で作ってしまったタイムロスをいかに挽回していくかまでで、ウェバーの後ろに追いついた時点でもうレースそのものは終了ということになる。しかしピット作業のタイミングの是非だけを楽しみに、私は中継を観ているわけではない。
 チームメイトの軋轢が大事故につながったことを思うのなら、いっそペースカーでも出して、コントロールすればいいし、そのほうが理にかなっている。何も世界中の観客を前になんちゃってレースを展開する必要はない。上位を走っている四台の二チームが、このままの順位でゴールするとドライバーに指示することは結局こういったことなのではないのか。
 そもそもチームとは何なのか。どうして二台をエントリーしているのだろうか。そんなにチームが大事なら、その最大のライバルであるチームメイトとやらを排除するために、先日のコメント欄に書いたように、すべて一チーム一台体制で運営すればいい。そうすれば、少なくともマレーシアグランプリのように、消化周回を見せることがベターとなり、そうさせなかったベッテルが集中砲火を浴びるようなことはなかったはずなのだから。
 ちょっと続きます。