風と遊ぶもの

 日曜日のお昼。
 とある文章をまとめるために、とある雑誌を読んでいると、強い睡魔に襲われたので、ほんの少し横になるためにベッドへ向かう。
 窓から梅雨時とは思えないほどの心地いい風が入ってくる。その風が身体のまわりで遊ぶ。瞼の裏の情景のほうに私は歩いていく。
 公園の子どもたちの声が風といっしょに遊んでいる。芝生を走り回っているのだろう。自動車や電車の音も聞こえるが、子どもたちの声のほうがまさっている。
 一瞬だけ眠ったのか。声や音がすべて消えたように感じた。その静寂に起こされて私は眼を開ける。今のはいったい何だったのだろう。ドアのところにツレの顔があって、散歩にさそわれる。
 数時間後、電話が掛ってきた。伯母さんが亡くなった。生まれてきてからの私のすべてを知る「大人」たちがまた一人、あちら側に旅立っていった。