創元SF短編賞贈賞式など その五

 今回は優秀賞がなかったので(だから貴重な存在ですよ、オキシさん)、賞をいただくのは正賞と個人賞の三方の計四人。その全員が揃うのは四回目にして初めてかな。やはりちゃんと三人並ぶと壮観である。
 個々の作品内容に簡単に紹介されたあとは雑談に。大森さんが高槻さんに「今度はグレフィスなんての幻の作品なんかどうなの」とふると、「いや、グリフィスは全部あるんですよ」と即答。むむむ、やはり研究されている。与田さんの作品で、あれはハエなのか、それともハチなのかが話題に。作者もそれがわからずに、「ハエは刺さないし」、「いやツエツエバエは刺すだろ」、「アブはどうなの」といった論議。鹿島さんの作品も、かの「惑星ソラリス」を読み解く鍵の一つ、『ドン・キホーテ』のパロディでもあるので、ぜひ読んでみたい。
 やがて話題はSF短編全般や昨今の出版事情に移る。「小説新潮」のSF特集号は、表紙のせいで、購読を止そうか迷っている読者にきっかけを与えてしまう、とのこと。昔々、雑誌を作っていた身としては実感。
 近刊の酉島伝法さんの『皆勤の徒』では、小浜さんが「チェックに慣れたのか、新しい原稿は三日で終わったけど、返ってきた原稿はどっと増えていて、それを見るのに七日掛かった」との話に続いて、いわば酉島標準ともいうべき話題に。