創元SF短編賞贈賞式など 番外

 はい、「時の過ぎゆくままに……」記憶が、まいどおおきに、ほなさいならと怪しくなっているので、贈賞式関係は事実経過というよりも、個人的印象をチラホラと述べることにする。
 壇上の話題は『皆勤の徒』へと向かうのだが、印象的なのは選考委員各氏が、この作品への畏敬の念を持っているのではないか、という点。もちろん、場が場なので(どんな場かいな)、それはやや冗談めかして語られるのだが、結論としてあるのは作品への賞賛なのである。
 例えば、小説誌がSFを特集したり、特別号を出す昨今にありながら、なかなか新人の作品を集めた『原色の想像力』の営業実績はいいとはいえない。はたして読者は新人の作品を欲していないのだろうか、という話題の中で、ではどんな新人を読者は必要としているのか、という枠に酉島作品は収まりきれない、となるのである。
 つまり「皆勤の徒」ですでに酉島作品は新人というよりも、個性ある(それも思いっきり個性的な)一人の作家として登場したことになる。
 このあたりに新人賞の難しさがあるのかもしれない。つまり玉子が割れたら、ヒヨコではなく、ニワトリが出てきたのである。