メビウスの夜 その四

 blacksheepのオープニングは、最新CDの冒頭にも収録されている「SLAN」。バリトンサックスとトロンボーンが、まるで二重らせんのように展開し、宇宙へと疾走する。それに絡み合うようにピアノが遊ぶ。それはまるでミクロとマクロの融合したような想像世界であるのだが、主旋律は若々しき力に満ちて、しょぼくれオジサンの背中を優しく押してくれるのでもあった。
 かくのごとくに、今回のアルバム「∞メビウス」は、SFファンであるリーダーの吉田さんが、自身のSF作品へのオマージュをジャズとして表現したものなのだがもちろん個々独立した音楽作品である。
 つまりこれはSF小説の映画化にも似た、音楽化なのだ。
 しかし恥ずかしながら、私はその音楽化の原作であるヴァン・ヴォクトの「スラン」を読んでいない。ということで、たった今、それを密林の川でポチッとしたのである。ここから音楽から源流を遡る旅が始まる(時間が掛かりそうだけど)。