メビウスの夜 その五

 さて、blacksheepの二曲目は、バッハの「イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ」、というよりも、映画「惑星ソラリス」で、タイトルバックやクリスがハリーに見せるビデオの場面、かつまた無重力のシーンにこれでもかというぐらいに流れる曲といったほうが(少しだけ)わかりやすい。
 このいわば清楚かつ神妙なる曲を、はたしてアノblacksheepは、どうやっつけてしまうのか、はっきりいってかなり緊張するのではあった。
 その緊張を解いたのが、譜面を読むための吉田さんのバッハチェンジ。あの顔面に付着しているかと思いきやのサングラスが、金属音(?)とともにメガネにすり替わるそのさまは、万雷の拍車の中、執り行われたのではあった。
 そしてパイプオルガンならずの、バリトンサックスがおなじみの旋律をダイナミックに奏でつつ、たくみな効果音をも入り混じって、目を閉じればステージ上はソラリスステーションのロケット発着場か、はたまたチーブ状の回廊と化していく。耳をそばだてれば、青い服の少女の鈴の音も聴こえてきそうな「映像」ではあった、とはちょいマニアック過ぎるかな。
 ちなみに「∞−メビウス」の吉田さんによる解説文のこの項目には、私なんぞも登場させていただいてます。ありがとさんでした。