五反田今昔ストーリー その二十

 五反田・新開地の話の中で、ほぼ意味不明に「養老の瀧」の話が出たが、その名前の居酒屋チェーンが五反田に出店したのも、ちょうど私たちがあたりをたむろして七十年代後半であったと思う。場所は新開地の近く、目黒川に面していて、さらに数十メートルほど上流のあたりである。
 その店に居酒屋の客として入ったことがあるかどうかは、記憶としてはあいまいである。ただ当時「養老の瀧」は、学生の食事、というよりは「餌的存在」として一世を風靡していた牛丼の「吉野家」のタメを張って、吉野家よりも安い、たしか250円牛丼を展開し始めたように記憶している。
 そしてある日、チラシか何かで、その店が牛丼の出前をやっていることを、悪ガキを絵に描いたような先輩が知ってしまったのだった。 うーむ、悪い予感がする。