不必要の必要 その十五

 つまりまだ読んでない本でも、買った時の思いである「こんなことが書いてあるかも」が存在していることになる。まさに「積読」は、その中身を読まずして、すでに「読んでいる」ことになるのである。
 最近、いや近年、でなくてずいぶんと前から、本棚に並んでいる本のどれを読んで、どれを読んでいないかがよくわからなくなっている。なので、その美貌、しゃなくて備忘のために、本の見返しに鉛筆で、読み終わった日付を入れることにした。
 しかしこれで万事解決のはずが、その記載があっても、内容をまったく憶えていなかったりする事態が多々ある。
 そして次第に、読んだ本も読んでいない本も、みんな交じりあっていき、すべて「こんなことが書いてあるかも」本として存在することになる。