不必要の必要 その二十二

 そして話はずーっと前に書いた、大学入学時のセミナーで担当教授がいった「本は読まなくてもいい、買っただけでも意味がある」に戻る・・・・・・かな。
 私が最初に買った大人の本は、これらの四冊だったわけだが、これを自分の部屋の本棚に置いてみると、とうぜんのことながら大きなすきまが生じしてしまう。
 今まではそんな本が一冊もなかったので、すきまも何もなかったわけだが、このように少数の本があることは、逆に本がないということをはっきりと表すことになってしまうのだ。
 テーブルに何もなければ、ただのダイニングの風景だけど、そこに一枚の皿があって、その上にパンの切りはしが乗っていたとすると、それは貧しい食生活を感じさせはしないだろうか。
 つまり私の部屋におけるこの四冊の大人の本の登場は、私の思惟の空虚さを際立たせることになったのである、なんてね。