万博との44年ぶりの再会 その三

(昨日の続き)
 というのも、今回の東大では、その9面の中の3面だけを小さなスクリーン(といったも学内では最大級なのだろう)で鑑賞しなくてはならないからだ。
 はっきりいって44年前、あの摩訶不思議なパビリオンに誘われ、大きなターンテーブルに乗せられて、最高の音響の中に目前に迫る巨大な9面のスクリーンの映像を見せられた観客にとって、この映像環境は次元の違うモノにならざるを得ない。
 もちろん主催者側もそんなことは重々承知で、思い出に浸りたいが故にノコノコやってきたおじさんこそ、招かざる客というわけである。
 実際に9個の大きなスクリーンと立体音響という道具立てさえあれば、例えは悪いが家族ビデオでもそれなりの感動を呼ぶに違いない。
 つまり今回の上映そこ、そういったお膳立てを捨象して、映像のエッセンスのみを紐解く試みである、とも解釈できる。
 ところでいつものように話は横道に逸れるが、そもそもこの東芝IHI館自体が激しく個性的なのである。中学生だった私のお気に入りで、その隣の三井グループ館のチンプさ(失礼)もあって、目立つことこの上なし。
 国内企業館のデザインとしてはピカイチなのではないか。ネットにも写真がゴロゴロあるので、知らない人は検索してほしい。これに匹敵するのは何かな、と思い浮かべると住友童話館ぐらいしかない。ただ背伸びしたい中学生にとって童話とあるだけで見学の対象から除外する理由となるのだった。(続く)