大雪のあとのカワセミ

 強い風の中、公園を歩いていると、中年の女性がニコニコしながら真上を見上げていて、そのあたりにカメラを向けている。何かなぁ。しかし興味津々だけれど、いっしょに空を観るのも恥ずかしくて、そのまま通り過ぎる。
 公園の西側、カキツバタが群生しているあたりいつもいるカワセミは、二度目の大雪のあと、姿を見せていない。どこかへ行ってしまったのか。それとも……。
 しばらく行くと、管理事務所が設置した野鳥目撃掲示板がある。数日前だがカワセミの記述がある。よかった。
 ぐるりと回って公園の反対側からバードチンクチュアリを眺めても、カワセミの姿はない。それでもしばらく見てると、木々の間を飛ぶモノがある。なんだろうとその辺に視線を集中していると、カワセミが青く輝く羽を広げて目の前を横切り、近くの小さな池へと飛んでいく。うん、元気そうだ。今日はカメラを持っていないのが残念。
 いったん川の堤を少し歩いて、また公園に戻ると、先ほどの女性がベンチに座って空を見上げている。こんどは構わずそのあたりを眺める。そこには三日月から少し太った月が、空の青に消されそうになりながら漂っていた。

★最初の大雪のあとのカキツバタ側のカワセミ