深夜のニュースから

 4月1日の12時29分、ロシアのモスフィルムは異例の記者会見を行った。
 それによると、モスフィルムの保管庫でソビエト時代の有名な映画監督であるアンドレイ・タルコフスキーの未公開フィルムが発見されたという。
 中でも画期的だったのは、タルコフスキーと脚本家であるフリードリヒ・ゴレンシュテインによる「惑星ソラリス」の最初のシナリオに従って編集されたフィルムが存在していたということである。
 タルコフスキーは原作者であるポーランドの作家スタニスワフ・レムにその脚本を見せていたが、レムがその内容にまったく納得しなかったために、不本意ながら大幅に書き直して映画は制作され、1972年に公開されていたのである。しかしそれと並行して実際には当初のコンセプト通りの作品が作られていたことになる。
 担当者によるとこの作品はほぼ地上が舞台となっているということで、早くもタルコフスキー・ファンの大きな話題となっている。
 モスフィルムではこの作品をデレクターズ・ファイナルカット版として、4月4日のタルコフスキーの誕生日にモスクワとペテルブルグでプレミア公開し、その後全世界的な上映を計画中だという。
 現在危機に瀕しているモスフィルムだが、突然救世主としてタルコフスキーの作品が甦ったことは、まさに歴史の皮肉であるという向きもある。