東京オリンピックのソラリス

 ネット書店の日本の古本屋で、SFマガジンの1964年10号と11月号を買う。それぞれ600円で、送料込みで1500円也。
 すでに12月号から翌年の2月号までの三冊は持っていたので、これでスタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』の最初の掲載誌が揃ったことになる。
 残りは単行本化された一冊だが、いずれ機会を見て入手したいと思う。
 もちろんどこかで書いたように、この飯田さんの訳は文庫本も日本SF全集版も持っている。それでもたぶん一語の違いもないであろうSFマガジンの掲載誌を買ったのは、ただの蒐集欲もあるのだろうが、それ以外にも当時の雰囲気が他の記事から感じ取れるからだ、といっておこう。
 それにいま気づいたのだが、1964年の十月といえば東京オリンピックの開催月ではないか。ただテレビで観戦していただけだけど、一度だけ電車の窓から国立競技場の聖火を見たことがある。その遠い記憶の日々の書店にこの雑誌が並んでいたと思うと、なにやら不思議な気持ちになってくる。

★ちなみに連載回の五冊ではなく、六冊映っているのは、レムがソビエトに行ったという記事が掲載された1966年4月号も重ねてしまったから。もちろんこの頃はスタニスワフではなく、スタニスラフの表記でした。