季節の草花 その二十三

 スズランよ、と聞いて、そうかこれがスズランか、それにしても小さな花だ、と思った。
 その華麗な姿に似合わずか、いやそれこそ似合うのかどうかはわからないが、なかなかの毒をお持ちのようで、そのせいなのか、なぜか触ることを拒絶しているようにも見える。
 スズランといえば私には神保町のスズラン通りだが、あそこに行かなくなって、幾年月。今では数十年前の記憶と数年前の記憶が混ざり合ったままである。