北の想像力への極私的歩み その14

 そして時は過ぎゆき、他のおいちゃん編集部員にもパソコンが行き渡るようになったのだが、そーなると、少しだけ前に導入していた私がにわかSE的立場となる。どだいコンピータなどまったくわからんちんなので、どうしたものかと思ったが、周囲はまったくそれ以下で、終了音を小さくしたいとか、画面の文字がデカすぎるといったレベル。ふぅ、安心した(していいのか!)。
 そんな牧歌的(個人的感想です)な編集部だから、入力機器がデジタル化しても、印刷入稿はいまだ指定紙に版下とポジといった旧態依然。で校正も印字した原稿と校正紙を照らし合わせたりしていた。まぁ、間違いではないのだけれどね。
 そんなことと同時並行的にウチにもパソコンを導入。でもダイアルインだったので、ネットにつなぐと遅い遅い。てなことを書いていくと、極私的辺境編集の歩みになってしまうので、とんでもあれやこれやを書くのは諦めて、北の想像力がらみへ。
 さて、新車雑誌の編集部なので、新型車をデビュー前から取材させてもらったり、撮影や試乗のために広報車を借りたりと、しだいに各自動車メーカーの広報部と知り合いになっていく。そんな中、ホンダのベテラン女性広報部員Oさんと話をする機会があった。
 「昔、作家の佐々木譲さんが広報にいらしたそうですが……」
 「ええ、譲さんよね。知っているわ。いっしょにスキーに行ったこともあるのよ」
 もっとそのあたりを取材しておけばよかったと、今頃になって思う。