北の想像力への極私的歩み その15

 「男の隠れ家」という雑誌がある。いつもはどんな内容なのか知らないのだが、個人の本棚や古書店についての特集をよくやっている。
 もう13年も前、2001年の5月号も「私の書斎時間」というタイトルで、作家さんたちの書斎を取材していた。表紙は着物姿の筒井康隆さんで、大沢在昌さんや高橋源一郎さんの名前もある。
 さて、その雑誌を私がどうして買ったかという記憶は、いつものようにあやふやである。もちろんそういった仕事場に興味があったが、この雑誌の後半はペイドパブの匂いが強い。それでも買ったのは、特集の中に佐々木譲さんの中標津の仕事場が紹介されていたからなのかもしれない。
 その記事のキャプションには、譲さんが自身のホームページを持っていると書かれていた。当時としては書き手がサイトを築くのは、まれだったように思う。そして私はそのサイトで、あるきっかけを得ることになる。
 それから13年、今年の「男の隠れ家」のやはり5月号には、「本に出会う空間、本の過ごす時間』という特集で、『北の想像力』の版元である寿郎社が登場している。しかもその雑誌の発行元は、いつのまにかかつて私が勤めていた三栄書房に変わっていたのだった。