北の想像力への極私的歩み その22

 そして異形の歩行形態たる歩きスマホの障害をさけつつ、ブックファーストのイベント会場にまごつきつつも到達すれば、その空間はまさにブラックホール的都心にふさわしく、中央としての存在にはやや不釣り合いな狭さだった。
 しかしまた思う。この狭さこそが中心を中心として形成しているのかもしれない、と。
 凝縮された感覚、人と人との距離、発話の伝わり方、皮膚感覚、それらがこの中心的緻密さゆえに振動し共鳴している、としたらどうだろう。
 さてイベントの二次会は、かの有名な新宿のひとつの渦であるロータリー、そこに通じる地下道の向こう側の居酒屋ではあった。
 この東京のひとつの都心たる新宿で行われたイベントを、むりくり『原色の想像力』から派生した催しと解するならば、くしくもその翌日の5月25日には、かの『北の想像力』を発端とするイベントが、この新宿のさらに向こう側で開かれようとしていたのだ。