皆既月蝕拾遺 その三

 くわしいことは忘れてしまったけれど、月面を撮影する場合、その望遠鏡の焦点距離の100分の1の直径がフィルム面に写ることになるはず。つまり焦点距離が1メートルの望遠鏡だと、1センチの月がフィルムに焼き込まれるというわけだ。
 しかしそれは直焦点、つまり接眼鏡やカメラのレンズを使わずに、主鏡のみで撮影する場合にいえることで、それ以外の方法だとまた別の計算となる。
 私は直焦点や接眼鏡を足した撮影は難しいのでさっさと諦めて、もっぱら接眼鏡にカメラレンズを繋げるもっとも原始的かつ初歩的な方法で撮っていた。
 その場合のフィルム上の月の大きさはどう計算したかというと、はなはた不確かながら、使う接眼鏡で決まる倍率とカメラレンズの焦点距離を乗じた数値が、仮の焦点距離となったと記憶している。
 つまり焦点距離1000ミリの望遠鏡に40ミリの接眼鏡を使うと倍率は1000÷40で、25倍。これにカメラレンズの焦点距離、例えば50ミリを掛けると1250、つまりフィルム上には12.5ミリの月が露光することになる。
 この接眼鏡で月全体を、また部分的に撮影したい場合はもっと焦点距離の短い接眼鏡を使うことになる。なにやら備忘録的に書いてきたけど、もしかすると、とんでもない間違いなのかもしれない。
 ちなみに下の写真は、いつものコンパクトデジカメでいつものように手持ちで撮ったもの。今回、初めてそのレンズ近くの数値を見てみると、特に但し書きはないけど、Fは3.3から5.9、そして焦点距離は4.28から68.48ミリと書いてあるみたいだ。で、何かわかるかというと、実際のところ何もわからない。デジカメは私にとっては宇宙よりもブラックボックスなのである。

★高校時代、こんなボケボケを撮っていたら、すぐにボツにしただろうね。