ふかまりゆくもの そのろく

床屋談義　06
「ビートルズのアルバムは、少なくとも１９７０年代の中頃までは、日本ではＥＭＩレコードのイギリス盤とキャピトルレコードのアメリカ盤の両方が発売されていたんだ。まあ『ラバーソウル』以前の初期のアルバムに限ってだけどね。どういうわけか知らないけど、アメリカ盤はイギリス盤とは曲目構成やアルバムタイトルｓジャケットデザインも違うんで、素人にはまったく別のＬＰだと思えてしまう。でも全部集めると収録されている曲はイギリス盤とほぼ同じなんだよね」
「そのほぼ同じというところがミソがもしれませんね」
「そうそう、アメリカ盤にはドイツ語のシー・ラブズ・ユーなんかが入っていたはずだ。ジャケットもなんかこうアメリカーンな感じで。でも初心者は混乱するよね。買いたい人はいったいどちらを揃えていったらいいかわからない」
「だから今ではアメリカ盤を買うことができないんですか」
「そういうことだろうね。でも今じゃこのアメリカ盤は希少価値なんだろうな」
「もしかして、持っているんじゃないですか」
「むふふふ」