ふかまりゆくもの そのきゅう

oshikun2009-10-31

床屋談義 延長戦 09
 昨日、家に帰るとビートルズの白いモノ・ボックスがあった。ウチのに聞くと、今日やっとお店に寄ったという。
 「でもすごく重いの」
 いやいやビートルズが軽くてどうする、と持ったけれども意外に軽い。オリジナルLPとしては、『レット・イット・ビー』と『アビイ・ロード』以外の全アルバムが入っているはずだ。気持ちとしてはもっと重くてよかったのだが。
 で、その夜は不覚ながらも安ワインをやや大目に飲んで早く寝てしまった。
 しかし「タモリ倶楽部」を観るという中年男子の義務だけはどうにか果たした。
 そもそも最近CDにとんと関心のない私を少しだけ振り向かせたのが、この番組の「ビートルズのCDの聴き較べ」だったのだ。ここで聞き較べたのがLPと最新CDなのか、それとも旧CDと最新CDなのかはキチンと確認していないのだけれど、曲によっては確かに自分が聞き馴染んだLPとは違う気がした。
 でもやはり今まで書いてきたように買う気にはならない。もしかするとそれは今までLPを買ってきたという、意味のない「優越感」のためなのかもしれない。
 ということで、興味津々だけど、買わないよというモノ・ボックスが、ウチのの気まぐれか何かで目の前にある。でも持ち主の許可も無くパッケージを剥がすの「こわい」ので、待て明日とはあいなったのだった。

 で、今日、なにやらゴージャスな箱を開ける。ちっちゃくて新しい紙ジャケットビートルズたちが、キレイに収まっている。さすがに私の30年の風雪に耐えてきたLPジャケットとは違う。豪華なブークレットも付いている。
 その出だしを読んで、どうしてモノなのかという疑問も氷解した。なるほど、これらのアルバム自体がモノラルを前提として制作されたものであり、のちのステレオ化は別の理由での作為的なもの。だから最初からステレオとして制作された上記2作が入っていなかったことも頷けるのだった。
 そしてとりあえず一枚目の『プリーズ・プリーズ・ミー』を聴く。うんいい音だ。いやいい音というよりも、なんというか現場っぼい音といったらいいのか、そうリアル感、臨場感のある音なのだ。モノラルなのに、ひとりひとりの声が明瞭に立ち上がってくる。ひとつひとつの楽器が明確に分かれている。そんな感じの音だ。
 とりあえず一枚だけ聴いた感想はここまで。
 さて聴いた後はどう紙ジャケに入れようか。ビニールの袋とは別に紙製の袋もジャケットの中に入っている。どちらにするかと持ち主さまに聴くと、とりあえずビニール製の方という。袋に入れた後はそのクチをジャケットのクチに向けるか、それともクルリと90度向きを変えて簡単には出ないようにするのか、そしてペラペラの外袋はどうするのかなどなど、まるでほんもののLPのように扱いは面倒なのである。
 ということで、このビートルズのモノ・ボックスはたぶん私の「モノ」になる。
 でもちゃんと扱わないと近くからクレームがドカンと届きそうだ。しかし大丈夫。その手際はLPでしっかり体得済みなのだから。