再見、大阪

(昨日の続き)
 そして二人はなんばの駅から、もぞもぞと地上へと這い出たのだった。しかしそのチェス盤のような区画分けで、どっちがキタやらミナミやら、まったくわからん状態に陥り、おのぼりさん(?)よろしく、さっそく地図を広げたのでありました。
 で、まあアッチのほうやろと、進むが見当違いがままあって、どうにか「グリコ!!」に到着。しかしさすが日曜の夕方、人がぎょうさんおるで。
 「コレみんな大阪人なんやろか」
 「そげんことないで、グリコの写真なんぞ、とりはらしまへんで」
 と、めちゃくちゃな関西弁風な話をしつつ、グリコ前で写真を撮り、
 「みてみい、アホな東京人、あんなんとこで写真とってはるで」と自虐ネタ。
 そして心斎橋筋商店街を北上しようとしたが、人の多さに負けて、御堂筋に出る。
 で、あとで気づいてのだけど、このあたりは30年前の思い出の地、法善寺横町のめっちゃ近くだったんだね。まあ、ツレ同伴ではその界隈の思い出を語ることも・・・・・。
 でなことで、時間も意外と早く過ぎ行きて、なれない場所だから、移動時間の推定もままならない、いろいろ見てはいくが、結局夕食は弁当を買って新幹線の中で、ということになる。
 そして日航ホテルで荷物を受け取って、前の大丸地下街で弁当検分。なんともはやのチョイスだね。私は胃の調子が今一歩だったこともあって、淡白な和風弁当、ツレは、あれなんだっけ、もう二週間以上前なんだから忘れるよなぁ。
 で、案の定、新大阪では時間が売りたいほどの余ったのだけど、格安チケットだから、別の便に変更することはできない。
 かくして午後8時32分発の鈍行ひかりに乗り込み、東京着は11時26分、乗り換え6分で京浜東北線の最終が32分発という、スリリングな瞬間を残しつつ、思い出多き大阪の街は、窓の向こうの闇の中へと消えていったのだった。(終わり)