不必要の必要 その八

 さて、昨日ここで取り上げた『宇宙旅行』なのだけれど、いちおうスペックを記しておくて、発行元は小学館で、学習科学図鑑の八巻にあたるようだが、その巻数については奥付近くの広告にしか記載されてはいないようだ。
 で、初版はいつなのだろうと、てっとり早く国会図書館のサイトで調べてみると、1967年だということがわかった。つまりアメリカではイケイケドンドンであった宇宙開発が、アポロ1号の事故によって、ひと時だけ待ったが掛かる時期なのだ。
 ちなみに私が持っている版は1971年の七版で、日進月歩の宇宙開発をフォローするために、ところどころに書き加えや書き換えの跡らしきものが見受けられる。
 とにかく67年から71年までで、なんと七版である。版を重ねるごとに内容を修正していたとは限らないが、この四年間に七回の版という回数を考えてみると、時代の進み方がそれを必要としたのだと思う。
 個々のアポロの打ち上げとその成果の報告は、その一つ一つを書き足していたもののように読め、またサターンⅤ型のイラストもページによって細部が異なっているのが面白い。
 今回、この本を開いてみて気づいたのだが、ここではサターンⅤ型の1段目ロケットのノズルを九つとして描いているのだ。そのような企画があったことをどこかで読んだ気もするが、実際には五つのF1エンジンが装備されている。
 昔むかし、私が最初に買った時の版は不明だが、たぶん60年代ではなかったか。つまりこの71年版よりも過去の認識が載っていたはずで、それはそれで面白かったに違いない。
 この本にある火星の表面に関しての記述については、すでに前に書いたことがある気がするので、割愛する。
 ただ昨日載せた表紙の写真でも明らかなように、当時としては、つまり1967年あたりまでは、運河はなくてもまだスジのようなものがその表面に縦横無尽に走っているのではないか、と考えていたのだろう。
 と、中途半端だが、長くなったので、また今度。