とぼとぼ映画雑言ロード 01

 今年観た映画の「思いつき・言いがかり」的短評です。基本的にテレビ放送をDVD録画して観たものです。映画鑑賞のご参考には(たぶん)決してなりませんのであしからず。また事実誤認等もお許しあれ。※一部現在では表現として相応しくないものがありますが、それは映画制作当時のニュアンスに合わせるためとご理解いただきたいと思います。
 『バード』
 クリント・イーストウッドがサックス奏者のチャーリー・パーカーを描いた、彼の趣味性全開の映画。主人公の顔があまりにチャーリー・パーカーに似ていないので、残念ながら最初のシーンから白けてしまい、現実味があまり感じられない。役者と当人が乖離していまうという、伝記映画の根本的問題のシーケース的な作品。また時系列も説明もあまりないので理解しにくい。ただし成功者としてのガレスビーの描き方はいいし、映像そのものは見事だ。
 ザナドゥ
 オリビアニュートンジョン主演の70年代テイストテンコ盛りの映画だが、つまらない映画10選に入るだろう。とにもかくにもジーン・ケリーがかわいそうだ。
 『戦う幌馬車』
 タイトルと違って幌馬車は出てこず、装甲馬車が登場する。ジョン・ウェインが会いにいくと、カーク・ダグラスは箸でチャーハンを食べている。場所はオリエンタル・パレス。『荒野の決闘』でもオリエンタル・サロンというのが出てくる。オリエンタルというのは西部劇の定番なのか。
 『百万ドルの血闘』
 ジョン・ウェインの眼鏡は老いの象徴ですね。なにより自動車とバイクが出てくる西部劇は珍しいだろう。犬(ドックという名前)とインディアンが最後に死ぬのだけれど、主人公たちに悲しみはまったくなく、めでたしめでたしという感じでエンドマークとなる。当時こんなラストシーンでOKだったのかしらん。
 奥様は魔女
 つまらない映画10選にこれも入る。ドタバタを狙っていてドタバタになっていないことの悲劇。ニコール・キットマンがかわいそうではあるがまあしょうがない。男優がろくな映画に出ていないという設定なのだが、奇しくもこの映画でそれが裏付けられる。そうそうテレビドラマとは設定が違っていて、テレビドラマの制作が舞台となる。で、だからどうしたというわけではないけど。
 マリー・アントワネット
 絢爛豪華ファッション感覚映画。ややブルボン王朝に興味がわく。監督の親の七光り映画といってはかわいそうか。
 『名もなく、貧しく、美しく』
 ずっと古き良き日本映画のテイストだなぁ、と観てきたのだけれど、最後の展開は今の人にはちょっとというか全然理解できないと思う。こんなに救いのない作品を観たのは初めてかもしれない。
 笑う大天使
 つまらない映画10選が早くもこれで3本目。上野樹里がもったいない。
 フィラデルフィア物語
 アメリカの金持ちってこんな感じなの。まったく想像を絶する別世界に感情移入ができない、っていうか、普通、別世界でも映画ならけっこう感情移入ができるので、この「できなさかげん」はいったいどうしたことかという点でも貴重か。
 まぼろしの市街戦』
 傑作です。正気と狂気の差異。そもそも正気とは何か、狂気とは何かが入れ子になる。つまり精神病院が解放されて正気の街となり、それがまた閉じて狂気の街となる。